TikTokライバー事務所に入るメリット・デメリット|契約前に確認する6項目
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目次
結論: 事務所に入る価値は「横に相談相手がいること」です。報酬を決めるのは TikTok で、事務所の取り分は事務所との契約で決まります。入るなら、契約する前に、この記事の6項目を書面で確認してください。
事務所に入れば伸びるのか。入ったら辞められなくなるのか。
期待と不安が、同じくらいありませんか。
一人で配信していても人が来ない。事務所に入れば、何か近道があるんじゃないか。でも、一度入ったら辞められないんじゃないか。辞めたあとに配信できなくなるんじゃないか。そこまで考えて、手が止まっている人は少なくないはずです。
しかも、「tiktok 事務所」で検索して上に出てくるのは、ほとんどが事務所自身のメディアです。事務所が書いた事務所のすすめを読んで、事務所に入るかどうかを決める。これでは判断の材料がかたよります。
先に、言葉の範囲を決めておきます。この記事で言う「事務所」は、TikTok LIVE で配信するライバーの事務所(TikTok の呼び方では「エージェンシー」)のことです。動画を作る TikToker のマネジメント事務所の話ではありません。
それから、この記事は18歳以上の人に向けて書いています。TikTok の報酬プログラムに参加して報酬を受け取れるのが18歳以上だからです。
僕は TikTok で Apex Mobile の配信を、Twitch で VTuber として配信をしてきました。ただ、ライバー事務所に入ったことはありません。なのでこの記事は体験談ではなく、TikTok 公式の説明と、公正取引委員会の発表、それに公的な相談窓口の情報から書いています。
TikTokのライバー事務所(エージェンシー)とは
TikTok は、事務所との提携の仕組みを「TikTok LIVE Creator Network」と呼んでいます。TikTok 公式のニュースルームは、こう説明しています。
「TikTok LIVE Creator Network」(通称:エージェンシー制度)は、クリエイターの発掘・育成・支援を行うパートナー(エージェンシー)向けの公式プログラムです。 エージェンシーは、所属クリエイターの配信サポート、ガイドライン教育、アクティブ化支援などを行い、TikTok LIVEと協働して健全な配信環境と収益機会を構築します。
(出典: TikTok ニュースルーム・2025年12月の説明会の告知)
この公式の説明から、事務所選びに効いてくるポイントが3つ読み取れます。
事務所は TikTok から報酬を受け取る提携パートナー
エージェンシー募集のお知らせで、TikTok はこう書いています。
「提携エージェンシーとして契約を締結すると、当社が定める報酬ポリシーに応じてTikTok LIVEより報酬を受け取ることができます。」
(出典: TikTok ニュースルーム「TikTok LIVE Creator Network」)
つまり事務所は、TikTok から報酬を受け取る立場です。ここまでは公式に書いてある。ところが、事務所が所属ライバーからいくら取るのか、所属するとライバーの報酬が変わるのかは、TikTok の公式ページのどこにも書かれていません。そこは事務所ごとの契約の話で、TikTok は口を出していない、ということです。
TikTok の報酬そのものの仕組み(ギフトがどうお金になるか)は、TikTok LIVEのギフトと報酬の仕組みにまとめています。
「TikTok公認」は提携の契約で、質の保証ではない
同じ公式の告知には、制度の特徴として「TikTok LIVEが公式に認定するパートナープログラム」と並んで、「小規模法人・個人事業主も参加歓迎(規模・形態不問)」と書かれています。
ここが見落としやすいところです。事務所のサイトに書かれている「TikTok公認」は、TikTok と提携の契約を結んでいる、という意味です。小さな会社でも、個人事業主でも参加できる。だから「公認」の二文字は、その事務所のサポートの中身や契約の公正さを TikTok が確かめた、という意味にはなりません。見るべきは肩書きではなく契約書です。
所属は、自分が招待を承諾して始まる
所属の始まり方も、TikTok の公式ページ(英語)に書いてあります。クリエイターがアプリの Agency Center(エージェンシーセンター)で招待コードを取得し、エージェントがそのコードで招待を送る。そして最後がこの一文です。
「Read and accept the invitation to join the agency.」
招待を読んで、承諾して、所属する。順番がはっきりしています。Agency Center の場所は、TikTok > Settings and privacy > Creator tools > LIVE Center > Agency Center と案内されています(出典: TikTok 公式・Agency invite)。
事務所に入るメリット
事務所のメリットは本物です。ただし、中身は「伸ばしてもらえる」ではなく「一人じゃなくなる」のほうにあります。
相談できる相手が横にいる
TikTok 公式が挙げているエージェンシーの役割は、所属クリエイターの「配信サポート、ガイドライン教育、アクティブ化支援」です。配信のこと、ガイドラインのこと。どれも、一人で配信していると聞く相手がいない分野です。それぞれ具体的に何をしてくれるのかは事務所ごとに違うので、面談で聞いてください。
事務所の側でも、たとえば 321 INC は公式サイトで「ライバー1人1人にマネージャーがつき、サポートをさせていただきます。」と書いています。困ったときに連絡する相手の名前が決まっている。相談相手がいること。それが事務所の一番分かりやすい価値です。
事務所独自のイベントや特典がある
所属ライバーだけのイベントを持っている事務所もあります。321 INC は、所属ライバー向けの特典や、表彰式などのオリジナルイベントを実施していると公式に書いています。一人で配信していると、イベントに出る機会そのものを自分で探すしかありません。
配信の運営や契約のことを聞ける先ができる
ガイドラインのこと、配信の組み立てのこと、報酬の受け取りのこと。分からないことを質問できる窓口が一つ決まるのは、それだけで気持ちが軽くなります。
逆に言うと、事務所がやってくれる範囲は事務所ごとに決まっています。たとえば 321 INC は、公式FAQで「Instagram等のマネジメントは基本的には行なっておりません」と書いています(ライブ配信のマネジメントが中心)。何をしてくれて、何はしないのか。これも面談で聞いていいことです。
そして一つだけ、はっきり言っておきます。事務所に入っただけで伸びるとは言えません。TikTok の公式ページには、事務所に入ると配信の見られ方が変わる、という説明はありません。
「事務所所属」と名乗りたい気持ちがあるなら、それは恥ずかしいものではありません。ただ、その名前を名乗って損をしない事務所かどうかは、あなたが確かめていい。
事務所に入るデメリットと注意点
事務所の取り分は、TikTokの公式ページに書かれていない
事務所がライバーのギフトからいくら取るのか。TikTok の報酬ポリシーには、事務所の取り分についての記載がありません。事務所のサイトで「100%還元」という言葉を見かけても、それは事務所が自分で書いていることで、TikTok の公式ページに出てくる言葉ではありません。
取り分は、事務所との契約で決まります。だから、契約書に書いてもらうまでは、何も決まっていないのと同じです。
ノルマ・違約金・辞めるときの条件は事務所ごと
配信のノルマ(時間や日数)があるのか。守れなかったらどうなるのか。違約金はあるのか。何か月いなければいけないのか。これも全部、事務所ごとの契約で決まります。
「ノルマがなければ大丈夫」と思っていても、配信が義務になった瞬間に、好きだった配信がしんどくなる。そういう不安があるなら、ノルマの有無より、守れなかったときに何が起きるかを聞いてください。
辞め方の公式ヘルプは見つからなかった
TikTok の公式サポートとエージェンシー向けのページを確認しましたが、事務所を辞める(退所する)手順の公式ヘルプは見つかりませんでした。ネットの質問サイトには辞め方の条件が書き込まれていますが、公式の情報ではないので、この記事では扱いません。
辞めるときの条件は、契約前に書面で確認してください。事務所選びは、入り方より辞め方で決まります。
実際に、退所後の活動を制限する条項が、公正取引委員会の注意の対象になった例があります(Pococha の事務所の契約についてです)。詳しくは、このあとの「面談で条件を聞くなら:321 INC」の節で、日付と出典つきで書きます。Pococha の事務所と報酬の話は、ポコチャの時給と事務所に入るべきかでも書いています。
SNSでスカウトのDMが届いたときの確かめ方
声をかけられたのは素直に嬉しい。でも、自分なんかに来るのは、誰にでも送っているだけなんじゃないか。そう感じていませんか。
確かめ方はシンプルです。
- DM のリンクからは進まない。
- 事務所の名前を控えて、公式サイトを自分で検索して探す。
- 公式サイトに書いてある窓口から、自分で問い合わせる。
DM の送り主が本当にその事務所の人なのかは、その事務所の公式の窓口に、自分から聞いて確かめてください。
しかも、TikTok の仕組みそのものが、あなたの側に決める権利を置いています。さっきの公式ページのとおり、所属は、エージェントが招待を送り、あなたがそれを読んで承諾したときに始まります。承諾しなければ、所属は始まりません。DM でどれだけ急かされても、その場で承諾する理由はどこにもない、ということです。
契約前に確認する6項目
取り分を聞くのは、がめついことではありません。契約書に書いてもらう項目です。
面談でお金の話をしたら、印象が悪くなるんじゃないか。そう思って聞けずにいるなら、下の6つを紙に書いて持っていってください。聞くのはどの事務所に対しても同じです。答えを口で聞いて終わりにせず、書面でもらうところまでがセットです。
1. 時給保障の有無と条件
時給保障があるかどうかは、事務所ごとに聞くしかありません。TikTok の公式ページに、時給保障という仕組みは出てきません。つまり、あるとしたらそれは事務所が自分で決めている条件です。
「ある」と言われたら、そこで止まらずに条件まで聞いてください。どれだけ配信したら対象になるのか、いつまで続くのか、条件を外れたらどうなるのか。
2. ギフトのうち何割が自分に入るか
「100%還元」と言われたら、何に対する割合なのかを書面で聞いてください。
ギフトの何に対してなのか。事務所独自のボーナスの話なのか。事務所が TikTok から受け取る報酬とは別に、ライバーの受け取りから差し引かれるものがあるのか。言葉は同じでも、中身は契約書を見るまで分かりません。
3. 配信ノルマ(時間・日数)と、守れなかったときに何が起きるか
ノルマがあるかどうかより、守れなかったときに何が起きるか。ここが本当の質問です。報酬が変わるのか、違約金になるのか、何も起きないのか。体調を崩したときや、仕事が忙しい月はどうなるのかまで聞いておくと、あとで困りません。
4. 契約金・違約金
入るときにお金を払うことはあるのか。辞めるときや、ルールを守れなかったときに、払うお金はあるのか。あるなら、どんなときに、いくらなのか。金額が決まっているなら、その数字を書面に入れてもらってください。
5. 最低契約期間
最低何か月いる約束なのか。期間が終わったら自動で更新されるのか。更新しないときは、いつまでに、誰に、何を伝えればいいのか。辞める手続きの窓口まで聞いておくと、辞めたくなったときに迷いません。
6. 退所後の制限(配信・移籍・独立)
最後の項目が一番大事です。契約が終わったあとに、
- 配信を続けられるか
- ほかの事務所と契約できるか
- 自分で同じような事業を始められるか
この3つに制限があるのか。あるなら、どのくらいの期間なのか。この項目は、公正取引委員会が注意した種類の条項とつながっています(下の節で詳しく書きます)。
6つを聞き終えたら、その場で決めなくていい。
これは芸能(タレント・モデル)の契約についての注意ですが、国民生活センターは「その場での契約は避け、家族に相談するなどして冷静に判断しましょう。」と書いています(出典: 国民生活センター「タレント・モデル契約のトラブルにご注意!」)。ライバーの契約でも、考え方はそのまま使えます。
実際、次の節で紹介する 321 INC の公式の流れでも、面談と規約の確認は別の段階になっています。話を聞く日と、契約する日は分けていい。
面談で条件を聞くなら:321 INC
SNS で勧誘の DM が来ることもあります。でも、心配なら、事務所の窓口に自分で問い合わせて、報酬のことを直接聞くのがいい。聞く中身は、上の6項目です。
ここで紹介するのは 321 INC(株式会社321)です。紹介する前に、知っておいてほしい事実があります。
公正取引委員会の注意(2025年12月9日)
公正取引委員会は2025年12月9日、Pococha のライバーとのマネジメント契約で、契約が終わったあと一定期間、次のことの全部または一部を禁じる規定を設けていたライバー事務所4社に注意を行いました。
- ライブ配信活動を行うこと
- ほかのライバー事務所とマネジメント契約を結ぶこと
- 自社と同じ種類の事業を営むこと
理由は、独占禁止法第19条の規定の違反につながるおそれがあるものとして、未然防止の観点から、というものです(出典: 公正取引委員会の発表・資料(PDF))。注意は、違反と認定したものではありません。
その4社のひとつが、ここで紹介する株式会社321です。公正取引委員会の資料に載っている会社の所在地と、321 INC 公式サイトの会社概要の所在地が一致しています。
公正取引委員会の発表によると、4社からは、規定の内容を見直す予定である旨の申出がありました。ただ、321について、見直しが済んだという公表は、2026年9月29日時点で見つけられていません(321 INC 公式サイトのニュースにも、この件の記載は見当たりませんでした)。
これは Pococha の契約についての注意で、TikTok の契約について公正取引委員会が何か言ったわけではありません。ただ、同じ種類の条項(退所後の配信・移籍・独立の制限)は、どのアプリの事務所でも契約前に確認できます。だから6項目の最後の「退所後の制限」は、321でも、ほかの事務所でも、面談で必ず書面で聞いてください。
321 INC の公式情報
321 INC は、公式FAQの取り扱いアプリに TikTok LIVE も入れています。
所属の費用について、公式FAQにはこうあります。
「所属に当たっての費用は一切発生しません。ただし、部内の定例会などのイベントに参加される場合の交通費等は、ライバーさん自身でご負担いただきます。」
新規登録の流れ(公式)は次のとおりです。
- LINE公式アカウントにアクセス
- 面談を予約(「“とりあえず話だけ聞いてみたい” でもOK!」と書かれています)
- 担当マネージャーと面談(合否はLINEで通知)
- 「321の規約をご確認の上、お振込先の口座情報等を入力」
- 「担当マネージャーと決めたアプリの登録手続き」をして配信を始める
見てほしいのは2つです。まず、面談と規約の確認は別の段階になっていること。規約は、面談の場ではなく、その後の段階で確認します。次に、どのアプリで配信するかはマネージャーと決める流れになっていること。TikTok で配信したいなら、面談でそう伝えてください。
それから、321 INC の公式サイト(トップ・新規登録の流れ・FAQ)には、契約期間・退所の条件・違約金の記載が見当たりません。だからこそ、6項目は面談でそのまま聞いてください。
話を聞くことと、契約することは別です。「話だけ聞いてみたい」でいいと、公式に書いてあります。
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321 INC の面談を予約する(LINE)契約で困ったときの相談先
契約してから「こんなはずじゃなかった」となったときに、一人で抱えなくていい窓口があります。
フリーランス・トラブル110番
厚生労働省の委託事業で、第二東京弁護士会が運営している相談窓口です。「相談は無料」「匿名でもOK」「秘密厳守」とされています。
- 電話: 0120-532-110
- 受付: 9:30〜16:30(土日祝日を除く)
- メール相談・Web(ビデオ通話)相談もあり
対象は、発注事業者から仕事の委託を受けたフリーランスのトラブルです。事務所との契約がこの窓口の対象に入るかどうかは、相談先が判断します。迷ったら、まず聞いてみてください(出典: フリーランス・トラブル110番)。
消費者ホットライン「188」
国民生活センターが案内している相談先です。局番なしの188(いやや)番で、近くの消費生活相談窓口につながります(出典: 国民生活センター「タレント・モデル契約のトラブルにご注意!」)。
あなたにピッタリなのはどっち?
- 一人で配信のリズムを作れる人は、フリーで始めてください。 事務所の価値は「相談相手がいること」で、それがなくても続けられるなら、契約の条件を気にする必要そのものがありません。フリーで始めるなら、まずは配信機材のそろえ方から整えるのが早いです。
- 相談相手がほしい人は、事務所の窓口に面談を申し込んで、6項目の条件を聞いてください。 一人で迷い続けるより、条件を書面でもらって比べるほうが、ずっと前に進めます。その場で決めなくていいので、面談は「聞きに行く場」と割り切って大丈夫です。
よくある質問
Q1. 事務所に入ると報酬は増えますか?
TikTok は、事務所に入るとライバーの報酬がどう変わるかを公表していません。事務所の取り分は事務所との契約で決まります。だから「増える」とも「減らない」とも、TikTok の公式ページからは言えません。面談で聞いて、書面で確認してください。
Q2. 事務所に入るのにお金はかかりますか?
事務所ごとに違います。この記事で紹介している 321 INC は、公式FAQで所属の費用は発生しない(イベント参加の交通費等は自己負担)としています。ほかの事務所は、各社に確認してください。
Q3. 18歳未満でも事務所に入れますか?
この記事は18歳以上の人に向けて書いています。TikTok の報酬プログラムで報酬を受け取れるのは「18歳以上 (または居住する法域における成年年齢のうち、いずれか高い方の年齢)」です(出典: TikTok 報酬ポリシー)。また、民法の成年年齢は18歳で、18歳未満の人は、ひとりで契約を結ぶことができません(出典: 法務省)。
Q4. TikTok LIVE の報酬はどういう仕組みですか?
ギフトがどう報酬になるかは、TikTok LIVEのギフトと報酬の仕組みで公式の情報から整理しています。
まとめ
話を聞くことと、契約することは別です。面談の日に決めなくていい。辞めるときの条件を書面でもらってから、家で読んで決めてください。
一人で配信のリズムを作れる人は、フリーで始めればいい。相談相手がほしい人は、事務所の窓口に面談を申し込んで、6項目を聞けばいい。どちらを選んでも、報酬を決めるのは TikTok で、事務所の取り分は事務所との契約で決まります。
まだ配信を始めていないなら、TikTok LIVE の配信条件(18歳以上・フォロワー50人以上。予告なく変更される可能性があります)と始め方を、TikTok LIVEの始め方にまとめています。